【タクティクス講座5編、《スタート*パートⅢ》】
さていよいよスタートです。10秒ぐらいから前は、時計はあまり気にしないで下さい。
頭の中でカウントするのです。視線は前方、後方あらゆる状況を見て下さい。
スタートライン上の最初の列にいれるように集中して下さい。そして、スタート3秒
ぐらい前に自分の下側にルームが取れてるでしょうか。取れていればセイルに風を
入れてスタートラインを流すように、加速しましょう。そしてスタート0秒で(ホー
ンとともに)切り上がり、いよいよスタート完了です。
さてここで問題になるのが早すぎるスタート、いわゆるリコールという問題が発
生してきます。でもこのリコールを恐れてては良いレース、良い順位は期待出来ません。
経験上、僕が良い順位を走っている時、リコールだったかな!の想いは常に頭から抜
けたことは無かったですから。たまにはリコールで失格はありますが、スタートライ
ンを攻める気持ちは何時も持っていて下さい。さてそれでは気になるリコールの防止
策をお教えしましょう。特に大切なことは前にも述べましたが、スタートラインを、
他の景色等で把握することです。その見えないスタートライン上を走ることが出来れ
ば完璧です。そのラインの把握が最もリコールから逃れるポイントです。
それでは、よくあるケースからいきましょうか。
まず、ライン上にいる他の選手がスタート直前に上側に切りあがったら、あなたも一
緒に切りあがって下さい。自分の艇は出てしまうと思って、その位置のまま動かなか
ったらブランケット(相手の風下に入って風が無くなること)になってしまいます。
ですから一緒に切りあがって下さい。
この時、上側運営艇、下側運営艇に見られないように、他の選手のセイルの影に
隠れるように上手くスタートして下さい。上イチ下イチの場合は隠れるセイルは無い
ので要注意。相当リコールが激しい場合はゼネラルリコール(多数のリコール艇がい
る場合は再スタート)になりますから安心して下さい。
次に、誤って1人だけスタートラインを切ってしまった場合ですが、基本的には上
(カミ)か下(シモ)の運営艇を上側から廻り込んで再度スタートラインに戻ればクリアー
です。廻りこむ時はリコール艇に優先権は全く無いのでレースをしている他の艇を避
けて復帰して下さい。レースによってはブラックフラッグ旗の掲揚されたレースって
のもあって、この時はリコール=即失格になってしまいますので注意して下さい。
それ以外でスタート直前に(たとえば下艇に押されたり、潮で流されてスタート
ラインから出てしまった場合)直ぐにセイルを水に浸けて下さい。運営からセイルナ
ンバーが読まれなければセーフですから。この時はスタートホーンが鳴ったら速やか
にセイルアップして何事も無かったかのように走り出して下さい。
次は運営側ですが、必ずリコール艇のチェックの為にスタートラインを見ている
担当者がいます。ラインを見ている担当者の視線を見ながらスタートして下さい。
その視線が性格なスタートラインですから、凄く参考になりますよ。どういう事かと
言えば、たとえばスタボーでスタートライン下側からスタートする場合、下側運営艇
のジャッジの視線を見ながらスタートするのです。目が合ったり、そのジャッジのペ
ンが動けば、リコールの可能性有りです。
等々、その時々で沢山のリコール防止方法は有りますが、これも或程度経験が必要なこと
のような気がします。レースで勝ちたかったらどんどんレースに出場すること、
そしてスタートに何回もチャレンジして下さい。
次回はスタート直後!です。
【96年ハイウインド3月号】で《6人の全日本チャンピョンに聞く》の記事より。
今もオリンピックをメインに活躍する見城さん、井上さん、上野さん、今井さん達と
一緒に雑誌で紹介された時もあった。