【タクティクス講座6編、《スタート*パートⅣ》】
それでは、今回はスタート直後です。
さてスタートホーンが鳴りいよいよスタートです。この瞬間に相当の集中力が必要です。
風が有っても無くても、パンピングして最大のボードスピードを引き出して下さい。
風が強ければ強い程その動作は短くなりますが、自分のポジションがフレッシュ
ウインド(誰にも邪魔されない風)を受けるまで集中してパンピングして下さい。
自分の位置が誰にも邪魔されないポジションになったなら、ハーネスを掛けてセイリ
ングに集中して下さい。

もしスタート直後に、「ハマッテ」しまって(スタート直後に風を受けることが出来
ずにスタートダッシュが出来ない状態)、ほんの少しでも他艇の下側に入ってしまえ
ば絶対にスタートダッシュは出来ません。直ぐに脱出方法を見出して下さい。
そうです。ここで最も大切なフレッシュウインドを受ける為に何が必要か考
えるのです。
ハマッテもその瞬間で最大の脱出努力をすれば、そのレースを捨てることなく復帰出
来るのです。駄目だ~!っと思ったら直ぐに、しかも冷静に行動を起こすがとても重
要です。
タッキングしてフレッシュウインドを受けるとか、やや風下に落としてボードスピー
ドを上げてフレッシュウインドを受ける方法とかいろいろ考えられますが、相当なリ
スクを背負うことになりまからそれは覚悟して下さい。
たとえば、スタボータックでスタートした直後、タッキングした瞬間はポートタ
ックになる為、他の艇を避けて脱出しなければなりません。相当リスキーな行為です。
また、風下に落とす場合でも、風上マークまでの高さを失うことになりますので、何
にしてもリスクは大きいですが、ハマッタままその場に居るよりは冷静に行動を起こ
した方が99%順位は良くなります。

スタート直後に、とにかく必要なこと、もう一度言います。
スタートした瞬間から頭の中に《フレッシュウインドを受ける為に、今この瞬間何が
最も最善か!!》を叩き込んでおくことです。そうすれば自ずと、最高のタクティク
スが生まれてくるのです。その瞬間瞬間で、状況は刻々と変化しているので、言
い換えれば最も自分を表現出来る瞬間なのですよ!
ま~とにかく、スタートでハマラナイことが大切なので、そのように自艇を導いて下さい。

次回はスタート旗、スタートホーンについての説明です。




90年伊勢湾カップに初入賞。当時はフルオープンクラスで、プロのサーキット戦でもある。
【この記事はハイウインド90年の10月号より】。当時の賞金総額は破格の500万円!だ
った。