【タクティクス講座8編、《上マークへのアプローチ、パートⅠ》】
スタート後、全力でセイルをパンプし、自分の風上に他艇がいなくなってフレッシュ
ウインドを得たなら次はセイリングに集中します。いつも練習している時のリラッ
クス!したフォームを思い出し、小さな風波のフェイスを切り上がるように風上に上っ
て行きましょう。次々に来る風波の後ろ側のフェイスを丁寧に上って行くのですよ。
さて、次なるタクティクスは風上へのアプローチ方法です。
今スタートした集団は右海面と左海面に大きく分かれていくでしょう。レース海面
の中央を上って行くことは、タッキングの量も増えて1周目ではかなりリスキーな為、
余り考えられないと思います。ではどうやって右、左海面を決めているのでしょうか。
僕の場合は、当日の朝の雲の動きと天気図を照らし合せて、これから風がどのように
変わっていくか予測します。そして、その海域のデータ、たとえば天気図を参考に
昨日の風向とか、最近の風の状況も調べておき参考にします。等圧線による風の強さ
は最も重要視される部分ですが、それに加えて、通常大陸のレースでは昼間に、気温
と水温が暖まって風は海側方向に振れていく傾向にあり、昼間はその風向は海側に
振れ、また夕方陸側に戻るというのが一般的なので、海面選択の大きなポイントともな
ります。
さらに早めにレース海面をチェックしたなら、ブローの振れ方や、ブローの息をする
周期(時間)も頭に入れておきます。これも海面設定とかタッキング時に重要なポイン
トになるからです。
よって朝、セイルをセットしている間も、スキッパーズミーティングしている時も、
ウエイティングしている間も、常にどこから吹いているのか!海面状況はチェッ
クしているのです。
そして、さらにはスタートラインに着いた時も風上に入るブローの入り方、角度を、
自艇のポジション取りしながらでも最終的に右海面、左海面が決まるのです。
僕のレースに対する考え方ですが、1レース目の1上のウエイトはかなり大なウエイ
トを占めています。その日のレースの順位はその日の第1レースでほぼ決まる!僕の
中のデータ上ですが、1レース目に良い順位を取ると、その後のレースは精神的に集
中できるし、なによりも後に残されたレースの組み立てがし易くなるからです。
たとえば野球!先発ピッチャーは9回までのことを考えてボールを投げ込みますよね。
初回に味方が先取点を取ったら、楽なピッチングが出来るじゃないですか。
1レース目に良い順位を取るということは、それと同じことで、レースの組み立
てがとても楽になるのですよ。
さて、右左海面を決めたら、いざスタートです。多少は賭けになりますが、それも楽
しいところでしょう。しかし、スタート後のブローの入り方が変わったりとか、トラ
ブルに巻き込まれた時には、速やかに状況判断して海面変更をして下さい。
ここで重要な事はどちらの海面に行ってもいいですが、その集団でトップを狙う
ことです。
さぁ~ゲームの始まりです。
あなたの頭の中のモニタースイッチは入ってますか!!
画面には上マーク、下マークが表示され、上空から撮影していると仮定して下さい。
あなたのボードは風上45度で徐々に上って行ってます。ポート艇と出会ったらクリッ
クして一時停止、タッキングはダブルクリックです!!
次回も引き続き上アプローチです。
87年10月号ハイウインド、全日本ウインドサーファークラス優勝した時にWINNER'S EYE
のコーナーで。
87年ウインドサーファー全日本選手権での表彰式。当時はテレビ取材もあって、今よ
りもっともっと題材的に行われていたような気がする。